不動産に関する税制(平成30年度)④

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今回は、前回に引き続き不動産に関する税制について、まとめてみたいと思います。

贈与税

1.概要

個人から年間110万円を超える財産をもらったとき、贈与税がかかります。

贈与税の計算は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産を合計します。
次に、その合計額から基礎控除額110万円を差し引き、その残額に税率をかけた額が贈与税額になります。

【一般贈与財産用の贈与税の速算表】

課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

 

【特例贈与財産用の贈与税の速算表】

課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190万円
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

2.低額譲渡・負担付贈与

個人から不動産を負担付贈与又は低額で譲り受けた場合は、通常の取引価格と負担額又は譲受対価との差額に相当する金額が、その不動産を譲渡した者から贈与により取得したものとみなされます。

3.相続開始前3年以内に贈与があった場合

相続又は遺贈により財産を取得した者が、その被相続人から相続開始前3年以内に財産の贈与を受けている場合には、その財産の価格(贈与時の時価)は、相続税の課税価格に加算されます。この場合、贈与を受けた財産について貸された贈与税額は、その者の相続税額から控除されます。ただし、算出された相続税額より贈与税額が多い場合であっても、贈与税は還付されません。

4.贈与税の申告

贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、その贈与を受けた者の住所地の所轄税務署に贈与税の申告書を提出します。

 

贈与税の配偶者控除

1.特例の概要

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円までの配偶者控除を受けることができます。

2.適用要件

  1. 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
  2. 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
  3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

※配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。

3.申告に必要な書類

  1. 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
  2. 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
  3. 居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
  4. 金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書等)

 

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

1.概要

平成27年1月1日から平成33年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。

2.非課税限度額

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日~平成32年3月31日 1,200万円 700万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日 1,000万円 500万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日 800万円 300万円

【住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合】

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年4月1日~平成32年3月31日 3,000万円 2,500万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日 1,500万円 1,000万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日 1,200万円 700万円

3.住宅取得等資金の贈与と相続時精算課税選択の特例

平成33年12月31日までに、父母又は祖父母からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合で、一定の要件を満たすときには、贈与者がその贈与の年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。

※直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例の適用を受ける場合は、同特例適用後の住宅取得等資金について贈与税の課税価格に算入される住宅取得等資金がある場合に限り、この特例の適用があります。

 

相続時精算課税制度

1.概要

相続時精算課税の制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。

また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。

2.適用対象者

贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫とされています。

3.適用対象財産等

贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

 

贈与税は、例外規定が多く難解ですので、贈与を行う際は、慎重に検討する必要があります。

 

 

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