今回は、定款概説の第3回目です。
前回は、法務局のホームページに公開されている商業・法人登記の申請書様式のうち、「1-3株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない発起設立)【H30.2.28更新】」で示されている定款のひな型をモデル定款として、「第2章 株式」を見ていきました。
今回は、「第3章 株主総会」と「第4章 取締役」を概説していきます。
(招集)
第13条 当会社の定時株主総会は,毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集し,臨時総会は,その必要がある場合に随時これを招集する。
2 株主総会を招集するには,会日より1週間前までに,議決権を行使することができる株主に対して招集通知を発するものとする。
第1項は定時株主総会の招集について、第2項は臨時株主総会の招集についての規定です。
定時株主総会の招集については、定款で「毎事業年度末日の翌日から3か月以内」と規定して、公開・大会社でない限り、実際は税務申告の関係から2か月以内に開催するのが一般的です。
(議長)
第14条 株主総会の議長は,代表取締役社長がこれにあたる。代表取締役社長に事故があるときは,あらかじめ代表取締役社長の定めた順序により他の取締役がこれに代わる。
定款に株主総会の議長を定めておくことによって、株主総会を効率的に進めることができます。なお、定款に株主総会の議長を定めていない場合は、株主総会の決議で議長を選任することになります。
(決議)
第15条 株主総会の決議は,法令又は定款に別段の定めがある場合のほか,出席した議決権のある株主の議決権の過半数をもって決する。
2 会社法第309条第2項に定める決議は,議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。
第1項は、定足数に関する定め(例えば、「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主の出席」)がないので、1名でも出席すれば普通決議の定足数を満たすことになります。
第2項は、会社法第309条第2項に定める決議について、定足数を下限の3分の1に定めています。
(議決権の代理行使)
第16条 株主又はその法定代理人は,当会社の議決権を有する株主又は親族を代理人として,議決権を行使することができる。ただし,この場合には,総会ごとに代理権を証する書面を提出しなければならない。
代理人を会社の議決権を有する株主又は親族に限定する規定です。
(取締役の員数)
第17条 当会社の取締役は2名以内とする。
取締役の員数については、○名、○名以内、○名以上○名以内、○名以上などの規定の仕方があります。
(取締役の選任)
第18条 当会社の取締役は,株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,その議決権の過半数の決議によって選任する。
2 取締役の選任については,累積投票によらないものとする。
取締役の選任については、定足数の規定が「議決権の3分の1以上を有する株主の出席」となっています。
また、累積投票を排除する規定となっています。
(取締役の任期)
第19条 取締役の任期はその選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 補欠又は増員により選任された取締役の任期は,前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが原則ですが、非公開会社の場合は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで任期を伸長することができます。
(代表取締役及び社長)
第20条 取締役を2名置く場合には,取締役の互選により,代表取締役1名を定める。
2 代表取締役は,社長とし,当会社を代表する。
3 当会社の業務は,代表取締役社長が執行する。
取締役会非設置会社における代表取締役の選定機関については、定款に直接定める方法、定款の定めに基づく取締役の互選、株主総会の決議の3つの選択肢があります。
(報酬及び退職慰労金)
第21条 取締役の報酬及び退職慰労金はそれぞれ株主総会の決議をもって定める。
取締役の報酬については、株主総会で月額又は年額の最高限度額を定め、具体的な配分については、取締役の過半数による決定(取締役会非設置会社の場合)等により決定するのが一般的です。
今回は、定款の「第3章 株主総会」と「第4章 取締役」について概説してみました。