今回は、定款概説の最終回です。
前回までは、法務局のホームページに公開されている商業・法人登記の申請書様式のうち、「1-3株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない発起設立)【H30.2.28更新】」で示されている定款のひな型をモデル定款として、「第1章 総則」から「第4章 取締役」までを見ていきました。
最終回の今回は、「第5章 計算」と「第6章 附則」を概説していきます。
(事業年度)
第22条 当会社の事業年度は年1期とし,毎年4月1日から翌年3月31日までとする。
事業年度は1年に1回以上設ける必要があります。
事業年度の開始日は、月の途中でも構いません。
(剰余金の配当)
第23条 剰余金は,毎事業年度末日現在における株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に配当する。
剰余金の配当の基準日に関する規定です。
(配当金の除斥期間)
第24条 当会社が,剰余金の支払の提供をしてから満3年を経過しても受領されないときは,当会社はその支払の義務を免れるものとする。
株主が所在不明等で配当金の支払いができないときに、消滅時効が原則10年であるところを定款で3年に短縮するための規定です。
(設立に際して出資される財産の最低額)
第25条 当会社の設立に際して出資される財産の最低額は,金○万円とする。
「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」は、絶対的記載事項の1つです。
(最初の事業年度)
第26条 当会社の最初の事業年度は,当会社成立の日から平成○年3月31日までとする。
最初の事業年度に関する規定です。
(発起人)
第27条 発起人の氏名,住所及び発起人が設立に際して引き受けた株式数は,次のとおりである。
○県○市○町○丁目○番○号 ○ ○ ○ ○
○○株
○県○市○町○丁目○番○号 ○ ○ ○ ○
○○株
「発起人の氏名又は名称及び住所」は、絶対的記載事項の1つです。定款例では、発起人の引き受け株式数も規定されていますが、発起人の割当株数や払込金額は、別途、発起人全員の同意で決める方法もあります。
(法令の準拠)
第28条 この定款に規定のない事項は,全て会社法その他の法令に従う。
条文のとおりです。
これまで4回にわたって、法務局のホームページに公開されている商業・法人登記の申請書様式の「1-3株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない発起設立)【H30.2.28更新】」で示されている定款について、概説を行ってきました。
第1回のときにも述べたとおり、定款は、株主や債権者に閲覧されることがありますし、何か問題が発生したときに定款の規定が重要になってくることもありますので、会社を設立する際は、会社の実態に即した定款をプランニングすることが大切です。
また、会社の成長とともに定款を適宜見直していくこともとても重要です。