供託について

供託は、金銭、有価証券等を国家機関である供託所に提出して、その財産の管理を委ね、その供託所を通じて、それらの物を権利者に取得させることにより、債務の弁済、裁判上の保証等一定の目的を達成しようとするために設けられた制度です。
供託するには、法令に供託根拠規定がなければなりません。供託根拠法令には、民法、商法、民事訴訟法、民事執行法等非常に多くのものがありますが、供託によって達成しようとする目的、すなわち供託原因により、次のとおり分類することができます。

  • 弁済供託
  • 担保供託
  • 執行供託
  • 没取供託
  • 保管供託

供託の事例

弁済供託

弁済供託は、地代、家賃等の金銭の支払義務がある者が、その弁済をしようとしても、債権者がその受領を拒んだり、債権者の住所が不明であったり、債権者が死亡しその相続人が不明である等、弁済者の不注意によらずして債権者をはっきり知ることができなかったりしたために弁済できないときに、支払うべき金銭を供託所に供託して、債務を免れるものです。

例えば、X(賃貸人)が、Y(賃借人)から、月額5万円の賃料を受領していたところ、XがYに対して、翌月から賃料を月額6万円に値上げすると通告してきたとします。
このとき、YがXに対し、当該翌月の賃料として5万円を提供したところ、Xが6万円でなければ受領しないとして受領を拒否したときは、Yは、5万円を弁済供託することができます。
弁済供託をしたことによって、Yは、賃料債務を免れることができます。
値上げを要求された賃料と弁済供託した賃料の差額(1万円)については、当事者間による話し合いで解決しない場合は、最終的には裁判で解決を図ることになります。